今回から歴史の学習に入りますが、今回は歴史の細かい知識を勉強する前提として、どのように年代を数えるのかという問題を取り上げたいと思います。これを紀年法(きねんほう)といいます。

 正確に年代を示すことができなければ、歴史の学習はできません。今回は年代のカウントの仕方を学習していきます。

 それでは一問一答にチャレンジしてみてください。


<問い>
  1. 西洋を中心に世界で多く使われている暦であって、キリストの誕生の年を元年として数える暦を一般的に何と呼ぶか。
  2. 西洋を中心に世界で多く使われている暦で、キリストの誕生の年より前の年代を表す方法を、日本語及び英語で答えなさい。
  3. 西洋を中心に世界で多く使われている暦で、キリストの誕生の年より後の年代を表す方法(通常は省略される)を、日本語及びラテン語で答えなさい。
  4. キリストの誕生の年を元年として数える暦で、紀元元年を起点に百年ずつを一期として数える紀年法(きねんほう)を何というか。
  5. 日本において使われている暦(和暦)であって、天皇の即位時や天皇の在位中においても疫病(えきびょう)の流行などのため変更が行われている紀年法(きねんほう)を何というか。
  6. 初代天皇の即位の時から数える紀年法(きねんほう)のことを一般的に何というか。
  7. 初代天皇の名前を何というか。




<答え>
  1. 西暦
  2. 紀元前、B.C (Before Christ)
  3. 紀元後、A.D. (Anno Domini)
  4. 世紀
  5. 元号
  6. 皇紀(こうき)
  7. 神武天皇(じんむてんのう)

<解説>
 問題の1.から4.までは試験には直接は問われないものの、とても重要な内容なので、きちんと覚えてください。5.はその次ぐらいに重要、6.と7.は試験には絶対に出題されませんが教科書にもあまり載っていませんが日本人の教養として知っておいてもよいかなということを述べています。それでは解説に入ります。


 歴史の学習をするときに、どのようなことがどのような順番で事件が起こったのかを時系列(じけいれつ)で整理することは必須の知識です。

 学校の教科書で一番よく使われているのが西暦(せいれき)です。問題1.にもあるように、「キリストの誕生の年を元年として数える暦」です。そして、キリストの誕生の年より前の年代は紀元前(きげんぜん)といい、B.C.と書かれることもあります。一方で、キリストの誕生の年より後の年代は紀元後(紀元後)といい、A.D.と表されることもあります。もちろん今はA.D.です。当たり前すぎるので、紀元前と比較するような場面でなければ省略されることが多いです。

 そして、紀元元年を起点に百年ずつを一期とする年代の数え方が世紀(せいき)です。英語ではcentury (センチュリー)です。英語のつづり字にcentという文字がありますが、これは100を意味する単語です。100年集まって1世紀ということです。

<例題>
  • 西暦2010年は何世紀か?
  • 西暦1990年は何世紀か?
答えは分かりますか?






<例題の答え>
  • 21世紀
  • 20世紀

数え方のコツは、西暦の上二桁に1を足すと世紀になると教わることが多いようです。確かにそれは間違いないのですが、これは全てにあてはまるわけではありません。これを見事に問うてきたのが高校入試ではなく、難関大学の入試で問われたことがあります。

<例題>
「関ヶ原の戦い」が起こったのは何世紀か?


関ヶ原の戦いは後に丁寧に学習しますが、西暦1600年に起こっています。これは高校入試で点数を取るためにはとても重要な知識です。それに変化球をかけてきました。

上の原則をあてはめると、「17世紀です!」と胸を張って答える人もいるかもしれませんが、残念ながら不正解です。答えは16世紀です。なぜかというと、16世紀というのは西暦1501年から1600年までのことを指すからです。変なテクニックに騙されてはいけない典型例です。物事の道理を分からずにテクニックを使うと見事に足元をすくわれます。

もう一度<問題>の文を見ると、「紀元元年を起点に百年ずつを一期」と言っています。紀元元年とは紀元1年ですから1から順番に数えて100番目の数はいくつかと言われれば100ですよね。これが1世紀です。
  • 紀元元年から紀元100年まで=1世紀
  • 紀元101年から紀元200年まで=2世紀
なのです。これが世紀という紀年法の急所の知識です。気をつけましょう。



 さて、残りの問題の解説ですが、いずれも日本で使われている紀年法です。日本で使われている紀年法のことをまとめて和暦(われき)と言います。

 平成とか昭和とか大正とかこれが元号(げんごう)です。後にくわしく学習しますが、西暦645年に「大化(たいか)」という元号を使い始めてから日本では元号が使われ始めました。元号の制定は最終的に天皇が持っている権限です。天皇は時を支配するというところからきています。日本の近くにはチャイナ(中国)があり、この地域には王朝(おうちょう)というものが入れ替わり、皇帝(こうてい)という人たちが支配していました。皇帝は暦を決められます。時を支配できるほど強い権限を持っているということなのです。ところが、日本はチャイナ(中国)の王朝から独立してオレたち自分の力で暦も決めてやっていくのだという意志表明のようなものをしました。こんなことまで学校では習わないかもしれませんが、元号を使い始めた背景にはそのようなものがあったと言われています。今は天皇が譲位(じょうい)しないと、つまり天皇の位を次に譲らないと元号は変わりませんが、昔は病気が流行ったとか天災があったからという理由で一代の天皇の時代の間に何回も変わったこともあったようです。

 最後に皇紀(こうき)について触れておきましょう。ひょっとして初代の天皇の名前を卑弥呼(ひみこ)だと思っている人もいるかもしれませんが違います!初代の天皇の名前は神武天皇(じんむてんのう)と言います。神武天皇は、今の奈良県の橿原神宮(かしはらじんぐう)で即位されました。神武天皇が即位したときに、神々に対してお誓いをされました。
兼六合以開都、掩八紘而為宇、不亦可乎

六合(くにのうち)を兼ねてもって都を開き、八紘(あめのした)をおおいて宇(いえ)と為(せ)んこと、またよからず
と仰って、「天地四方八方の果てに至るまで、この地球上に所属するすべての民族があたかも一軒の家に住むように仲良く暮らしていけるよう、そんな国づくりをしていきます(橿原神宮ウェブサイトより)」ということを神々に誓いました。その年を元年としてカウントする紀年法が皇紀です。確かに先の大戦の前までは使われていて、知っている人もいるかもしれませんが、零戦という戦闘機の零というのは、皇紀2600年、昭和15年、西暦1940年に製造された戦闘機だから(つまり零とは皇紀の下ケタのこと!)なのです。今でも神社なんかではよく見ます。初詣(はつもうで)なんかに行く機会のある人は探してみてください。意外に使われています。しかし、試験では絶対に出ません。