<問い>
  1. 条文の穴埋めをしなさい。
憲法第六十九条
 内閣は、( )で不信任の決議案を( )し、又は信任の決議案を( )したときは、( )日以内に( )が解散されない限り、総辞職をしなければならない。 

憲法第七十条
 ( )が欠けたとき、又は( )選挙の後に初めて国会の召集があつたときは、内閣は、( )をしなければならない。
 






 
<解答>
  1. 条文の穴埋めをしなさい。
第六十九条
 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。

第七十条
 内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたときは、内閣は、総辞職をしなければならない。
 
<解説> 
 「国会」「内閣」及び「裁判所」の条文や制度を勉強する場合には、必ず「三権分立」の図を頭に置きながら勉強するようにしてください。

三権分立のしくみ

 どこの何の話をしているのかを全体像を見ながら勉強してください。これは「国会」「内閣」及び「裁判所」を勉強するときの地図のようなものだと思ってください。もし、三権分立が分からないという人は、以下のシリーズを必ず見てから解説を見るようにしてください。

 今回のところは、まさに上の三権分立の図でも最も大切とも言える憲法69条の問題です。

 国会は内閣のリーダーである内閣総理大臣を指名し、内閣は国会に対して責任を負うという関係でした。これは、【憲法条文シリーズ】 日本国憲法第65条、66条及び68条についてでも述べたとおりです。


 ただ、内閣が国民にとって有益な政治を行っていないにもかかわらず、単に「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」と言っているだけでは、内閣にとっては痛くもかゆくもないですよね。そこで、内閣に対して不満が出たときに、衆議院に対して大きな権限を与えました。それが憲法69条のハナシです。少しわかりやすく見てみましょう。
  • 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、または
  • 信任の決議案を否決したときは、
 ややこしい日本語で書いてありますが、要するに衆議院が内閣に対して「ダメだ」と思ったときということです。不信任決議がOK、信任決議がダメというのはそういうことですよね。

 衆議院が内閣に対して「ダメだ」と言う意見が通った時に、内閣はどのような対応を取ることができるのでしょうか。内閣は2つの方法を選ぶことができます。具体的に言うと、10日以内に「衆議院を解散する」か「内閣が総辞職するか」を選ばなければなりません。10日以内に選ばなければならないのは、国会は国民の多数派を反映させた国家機関ですが、その国会に承認を受けていない内閣が存在することは国の超一大事だと考えます。10日という期間は国の超一大事を決める時に出てくる期間です。もう一つ憲法に出てきますが、覚えていますか?答えはこちらで載せていますから確認してください。

 衆議院を解散することを選んだ場合は、衆議院は解散して選挙が行われます。選挙制度は大丈夫ですか?選挙制度が全く思い出せない人はこちらで確認してください。そして、当選した新しい衆議院議員が国会にやってきて、そこで開会される国会の会期の種類は答えられますか?

国会の会期

 前に習ったことをこのように振り返って思い出してください。思い出して即答できるかを試すことが知識の定着の第一歩ですよ。



 次に70条を含めて、内閣が総辞職しなければならない場合について述べています。69条を含めると、内閣が総辞職するケースは全部で3つあります。
  1. 衆議院で不信任の決議案を可決し又は信任の決議案を否決したときに、内閣が10日以内に衆議院を解散しなかったとき (憲法69条)
  2. 内閣総理大臣が欠けたとき (憲法70条)
  3. 衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があったとき(憲法70条)
 2.と3.について簡単に解説します。

 2.は、内閣総理大臣が死亡したときを連想できればOKです。

 3.は、「衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があったとき」に、国会で内閣総理大臣が選ばれ、のちに内閣総理大臣が国務大臣を選ぶことになりますので、そこで前の内閣は用済みになるので総辞職しましょうということです。



 ところで、総辞職して新たに内閣が誕生するまでの空白期間はどうなってしまうのでしょうか。その答えが憲法71条に書いてあります。

 「内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行う。」

 つまり、前の内閣にもう少しだけ頑張ってもらうことになっています。


 今回の大切なところは憲法69条と70条ですね。71条はちょっとした知的好奇心に応えるにはいい条文です。