国においては、国民が国家機関に対して何かモノを言う手段といえば、基本的には選挙しかありません。

三権分立のしくみ

 日本国憲法では、原則として間接民主制を採用しているというお話もしました。


 ところが、地方自治の場面では、いくつかのケースにおいて直接市町村や都道府県に対してモノを言える権利があります。今日はそれを問題にしてみました。

<問題>
 以下にかかげる表を埋めなさい。

地方自治における直接請求問題編

  1. 教育機関や学校の管理・監督する行政委員会を何というか。
  2. 選挙に関する監督や運営・事務などを行う行政委員会を何というか 
  3. 地方公共団体の歳入と歳出が正しく行われているかどうかを見張る行政委員会を何というか。













<解答>
  1. 50分の1
  2. 3分の1
  3. 首長
  4. 監査委員
  5. 選挙管理委員
  6. 首長
  7. 過半数
  8. 過半数
  9. 3分の2
  10. 4分の3
 一問一答の解答はこちら。
  1. 教育委員会
  2. 選挙管理委員会
  3. 監査委員



<解説>
 あらためて表を見てみましょう。 

地方自治における直接請求解答編


 ポイントは、署名数、請求先及びその後どのような手続きを取るのかの3つです。

条例制定改廃請求について
 
 条例については前回やりましたが、住民から条例を制定したり改正したり廃止したりすることを請求することができます。あくまで請求できるだけであって、必要な署名数を集めたら条例ができるわけではありません。たまに誤解している人がいますから注意しましょう。

 条例制定改廃請求は住民1人ではできません。有権者総数の50分の1以上の署名が必要です。署名が集まったら首長に署名を提出します。その後、署名がきちんと行われているかどうかを確かめた後、OKだったら議会が招集され、議会で過半数の同意があれば条例制定改廃ができます。 


事務監査請求について 
 事務監査請求は、地方公共団体のお仕事がきちんと行われていない時に仕事をきちんと行っているかどうかをチェックする監査委員に対して「仕事して!」と言える権利です。有権者総数の50分の1以上の署名が必要です。署名が集まったら監査委員に署名を提出します。その後、署名がきちんと行われているかどうかを確かめた後、OKだったら、監査委員は監査をしなければなりません。 


議会解散請求について 
 住民は議会を解散させる権利を持っています。議会を解散させることはタイヘンなことなので、上の2つよりも多くの署名数が要求されます。具体的には有権者総数の3分の1以上の署名が必要です。署名が集まったら選挙管理委員に署名を提出します。なぜ選挙管理委員に提出するのかと言えば、この後住民による投票が待っているからです。議会を解散させることはタイヘンなことですから、改めて住民に「議会を解散させてもいいですか?」と聞き直すのです。そして、過半数の解散への賛成があれば議会は解散されます。


議員の解職請求について 
 今度は「議会」ではなく議員個人の解職請求です。議員は住民の選挙によって選ばれますが、それをひっくり返すわけですからやっぱりタイヘンなことです。そこで、署名は有権者総数の3分の1以上が必要です。署名が集まったら選挙管理委員に署名を提出します。なぜ選挙管理委員に提出するのかと言えば、この後住民による投票が待っているからです。議員を解職させることはタイヘンなことですから、改めて住民に「議員を解職させてもいいですか?」と聞き直すのです。そして、過半数の解職への賛成があれば議員は解職されます。

 署名数から先の手続きは議会解散請求と同じですね。そのように覚えておきましょう。


長の解職請求について 
 「首長に辞めてください」と言う権利が住民にはあります。首長も住民の選挙によって選ばれますから、それをひっくり返すわけですからやっぱりタイヘンなことです。そこで、署名は有権者総数の3分の1以上が必要です。署名が集まったら選挙管理委員に署名を提出します。なぜ選挙管理委員に提出するのかと言えば、この後住民による投票が待っているからです。首長を解職させることはタイヘンなことですから、改めて住民に「首長を解職させてもいいですか?」と聞き直すのです。そして、過半数の解職への賛成があれば議員は解職されます。

 署名数から先の手続きは議会解散請求と同じですね。そのように覚えておきましょう。


役員の解職請求について 
 「役員」というのは、副知事・副市町村長、選挙管理委員、監査委員、公安委員会委員、教育長・教育委員の解職のことを言います。副知事と副市町村長ぐらいは覚えておきましょう。彼らを辞めさせることができるわけです。彼らは首長が任命していますから、「辞めさせてほしい」と願い出る相手方は首長ということになります。署名は有権者総数の3分の1以上が必要です。請求が有効であれば、首長が議会を招集して議員の3分の2以上が出席し、その4分の3以上の多数による同意があれば職を失います。署名が集まった後は住民投票まではやりません。そもそも彼らは選挙で任命されないからです。でも辞めさせることについては普通の議決よりもずっと重い条件を課しています。


<覚え方>
「署名数」について 
 「辞めさせ系」は3分の1、そうではないのが50分の1と覚えてください。

 語呂合わせで、解・3と覚えておきましょう。


「署名数」が集まった後について 
  • 条例制定改廃請求 →議会の過半数
  • 事務監査請求 →すぐに監査をやる
  • 役員以外の解散解職請求 →選挙
  • 役員の解職請求 →議会を招集し、議員の3分の2以上が出席し、4分の3以上の同意が必要

「署名数」の提出先について 
     署名が集まった後にどこで処理がなされるのかが分かれば導けると思います。
    • 条例制定改廃請求 →首長が議会を招集するので首長
    • 事務監査請求 →すぐに監査をやるので監査委員
    • 役員以外の解散解職請求 →選挙をやるので選挙管理委員
    • 役員の解職請求 →首長が議会を招集するので首長
     
     覚え方はボクの覚え方ですが、参考にしてみてください。