それでは前回の問題の解答・解説編です。


 問題が解けるかどうかも大切ですが、解説から自分の不足している知識を補充していってくださいね。同時に、キミたちが中学を出て、高校で勉強をしたり大学で学問をしたりあるいは社会人になって仕事をしていくうえで大切になる物事の考え方も解説していますから、ていねいに解説を読み込んでください。


 さて、まずは問題を振り返ってみましょう。

次のア~ウは、元寇から足利義満が勘合貿易を開始した期間中におきたできごとである。これらのできごとを年代の古い順に並べ、符号で書きなさい。

ア 室町幕府が開かれる
イ 建武の新政が始まる
ウ 南北朝の動乱が終わる

[平成21年度岐阜県入試]



<解説>
 まず問題のリード文に着目しましょう。「元寇から足利義満が勘合貿易を開始した期間中」と書いてあります。ここから何時代のできごとを連想すればよいでしょうか?


 答えは鎌倉時代後期から室町時代前期にかけてですね。こういったリード文が出てきたら、瞬間的にその時代に起こったことを簡単に連想していきましょう。

 元寇は鎌倉幕府8代執権の北条時宗の時に、元(げん)と高麗(こうらい)が朝鮮半島から日本を侵略するために大量の軍隊を従えてやってきました。戦い方の特徴の比較は各自教科書で確認しましょう。結果として、元と高麗の連合軍を追い払うことに成功しました。

 鎌倉時代は「土地」を通して、将軍と御家人との間には御恩と奉公の関係がありました。しかし、元寇が終わっても土地が増えたわけではありませんから、幕府側として御家人に対して「土地」をあげることができないのです。その上、御家人は元と高麗の連合軍を追い払うために多額の出費を伴っていますから、財政的に厳しくなりました。一方で、元・高麗連合軍を追い払うことができた幕府はより権力を握る結果になります。そうすると、幕府に対する不満が次第に高まり、やがて幕府を倒そうとしていた後醍醐天皇などと手を結び、鎌倉幕府は1333年に滅亡します。幕府の滅亡の年号は記憶してください。

 翌年の1334年に、倒幕の中心となった後醍醐天皇が新しく「建武の新政」を行いますが(選択肢イ)、倒幕のために働いた武士にちょっと冷たい政策をおとりになってしまったため、足利尊氏がこれに反旗を翻します。足利尊氏は、後醍醐天皇とは別の天皇を立てて、朝廷は北朝と南朝に分裂してしまいます。これが南北朝時代の始まりです。足利尊氏は、後醍醐天皇ではない天皇から征夷大将軍に任ぜられます。これが室町幕府の始まりです(選択肢ア)。年号は1338年で、この年号もきちんと記憶しておきましょう。

 この南北朝時代を終わらせたのは、室町幕府3代将軍の足利義満です。年号は1392年(選択肢ウ)。この年号も大切です。ちなみに、1392年という年号は、朝鮮半島でも「李氏朝鮮」という国ができた年でもあるので、合わせて覚えておきましょう。


 今回の問題はかなり易しい部類の問題です。どれも必須で年号が記憶できていなければならないものばかりです。それだけではダメです。このあたりの歴史の流れを何も見ずに説明できなければ失格です。できないという人は、最低限上の解説を自分の言葉で説明できるようにしてください。


  ここからは詳しく解説はしませんが、同時に次の内容についての復習を必ず行ってください。

  1. 鎌倉幕府と室町時代の職制の違い
  2. 鎌倉幕府の2代執権、3代執権、8代執権、14代執権の名前は記憶すること。また、それぞれの執権の時代に起こった重要なできごとを述べなさい。
  3. 元寇以降に御家人の財政が困窮したことから出された借金を帳消しにしてもよいとした法令の名前とその年号
  4. 建武の新政を批判する落書きを史料集または教科書から見つけ、一読すること(暗記は不要)
  5. 室町幕府の初代将軍、3代将軍、8代将軍、15代将軍の名前は記憶すること。また、それぞれの将軍の時代に起こった重要なできごとを述べなさい。
 面倒なことをどれだけできるかが成績アップにつながります。面倒臭いことをやらずに何でも人に頼ってばかりでは、試験当日で力を発揮できないばかりか、近い将来に社会に出たときに、「依存心たっぷり」のアホな大人になってしまいます。いまのうちに、「やろうと決めたこと」や「やるべきこと」は最後までやり切ることを覚えてくださいね。


<解答>
イ→ア→ウ